ドッグカフェで開業したい!開業の流れや必要な資格・費用・届け出などを丁寧に解説

愛犬と一緒に気兼ねなく食事やお茶を楽しめるドッグカフェは、多くの愛犬家にとって貴重な憩いの場です。
ペット市場の拡大に伴い、ドッグカフェの開業に関心を持つ人も増えています。
しかし、通常の飲食店とは異なる準備や知識が求められるため、開業までの道のりは決して簡単ではありません。
この記事では、ドッグカフェの開業を検討している方に向けて、具体的な開業ステップや必要な資格、資金計画、そして経営を成功させるためのコツまで、網羅的に解説していきます。
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そもそもドッグカフェとは?3つの営業スタイルを紹介
ドッグカフェとは、その名の通り愛犬と一緒に入店できるカフェやレストランのことです。
犬を連れていない人も利用できますが、基本的には犬連れの客をメインターゲットにしています。
単に同伴できるだけでなく、犬用のメニューを用意していたり、ドッグランが併設されていたりする店舗も少なくありません。
混同されやすい猫カフェと異なり、店舗のワンちゃんではなく自分の愛犬と過ごす場所という点が大きな特徴です。
営業スタイルは大きく3つに分類できます。
飼い主と愛犬が同じ空間で過ごせる一体型店舗
一体型店舗は、飼い主と愛犬が同じ店内で飲食できる最も一般的なドッグカフェのスタイルです。
客席のすぐそばに愛犬を座らせることができ、飼い主同士や犬同士が自然に触れ合えるコミュニティの場になりやすいというメリットがあります。
一方で、犬が苦手な人やアレルギーを持つ人には利用が難しく、動物の毛の飛散や臭い、鳴き声など衛生面と騒音への配慮がより一層求められます。
店内全体の清掃や消毒を徹底し、すべての利用者が快適に過ごせる環境を維持するためのルール作りが重要になります。
犬用の椅子やリードフックの設置など、設備面での工夫も欠かせません。
飲食スペースを人と犬で分ける分離型店舗
分離型店舗は、人が食事をするスペースと、犬が同伴できるスペースを明確に分けている営業スタイルです。
例えば、店内は人間専用とし、犬連れの客はテラス席や専用の個室を利用する形式がこれにあたります。
このスタイルの最大のメリットは、衛生管理のしやすさにあります。厨房と客席が完全に分離されるため、保健所の飲食店営業許可を取得する際のハードルが下がる傾向にあります。
犬が苦手な人でも安心して利用できるため、より幅広い客層を取り込める可能性があります。ただし、一体型に比べて犬との一体感は薄れるため、犬連れの客に対する付加価値をどのように提供するかが課題となります。
犬用メニューに特化したドッグメニュー提供型店舗
ドッグメニュー提供型店舗は、人間の食事はドリンクや軽食程度に抑え、犬用のメニューを専門的に提供するスタイルです。
栄養バランスを考慮した本格的な犬用ランチや、記念日をお祝いできるアレルギー対応のケーキなど、高品質でオリジナリティあふれるメニューが最大の武器になります。
この形態は、特に愛犬の食事への関心が高い飼い主層に強くアピールできます。
犬の健康に関する知識や調理スキルが求められますが、他店との明確な差別化を図ることが可能です。
人間の飲食提供が少ない分、厨房設備を簡素化できるため、初期投資を抑えられる場合もあります。
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ドッグカフェ開業までの具体的な7つのステップ
ドッグカフェの開業は、情熱だけで成功するものではなく、周到な準備と計画が不可欠です。
夢を実現するためには、コンセプトの設計から資金調達、物件探し、各種手続き、そして集客まで、一つひとつのステップを確実に踏んでいく必要があります。
ここでは、ドッグカフェを開業するまでの具体的な流れを7つのステップに分けて解説します。
この手順に沿って準備を進めることで、スムーズな開業を目指せるでしょう。
STEP1:お店のコンセプトと事業計画を明確にする
開業準備の第一歩は、どのようなドッグカフェを作りたいのか、コンセプトを具体化することです。
例えば、「特定の犬種が集まるカフェ」「保護犬の譲渡会も行うカフェ」「夜にお酒も楽しめるドッグバー」など、独自性のあるコンセプトは他店との差別化につながります。
ターゲット顧客層を明確にし、その層に響く内装、メニュー、サービスを考えましょう。
コンセプトが決まったら、それを実現するための事業計画書を作成します。必要な資金額、収支予測、資金調達方法などを詳細に落とし込み、計画の実現可能性を客観的に検証する作業が求められます。
STEP2:自己資金や融資で開業資金を準備する
事業計画で算出した必要な開業資金を準備します。資金調達の方法は、主に自己資金と融資の二つです。
自己資金だけですべてを賄うのが理想ですが、不足する場合は金融機関からの融資を検討します。特に、日本政策金融公庫の創業融資は、これから事業を始める人にとって比較的利用しやすい制度です。
融資の審査では事業計画書の実現性や返済能力が厳しく見られるため、しっかりとした計画を立てておくことが重要になります。提供するメニューの料金設定にも大きく関わるため、無理のない資金計画を立てることが、開業後の安定した経営の土台となります。
STEP3:出店エリアを決めて物件を探す
コンセプトとターゲット顧客に合わせて出店エリアを決定し、物件探しを開始します。
ドッグカフェの場合、近隣に公園や散歩コースがある、住宅街が近いといった立地が有利に働きます。
また、車での来店を想定し、駐車場ありの物件を探すことも重要です。
例えば、札幌市のような都市部でも、中心部から少し離れた北区、南区、西区などには、ドッグカフェに適した物件が見つかる可能性があります。
ただし、そもそも「ペット可」の飲食店用物件は数が少ないため、根気強く探す必要があります。
北海道のような広いエリアでは、地域の特性を考慮した立地選定が求められます。
STEP4:店舗の設計と内装・外装工事を進める
物件が決まったら、コンセプトに沿った店舗の設計と工事を進めます。
犬と人が快適に過ごせる空間作りが最も重要です。
具体的には、犬が滑りにくい床材の選定、リードフックの設置、犬用の足洗い場の確保、脱走防止のための二重扉など、安全面への配慮が欠かせません。
また、広さに余裕があれば、室内ドッグランを併設すると大きな魅力になります。
この室内ランは、天候に左右されずに犬を遊ばせられるため、集客力を高める効果が期待できます。
内装工事の前に、保健所の施設基準を満たしているか、専門家や施工業者に相談しながら進めることが大切です。
STEP5:厨房設備や備品を揃える
内装工事と並行して、厨房設備や店舗で使う備品を揃えていきます。
飲食店として必要なシンク、コンロ、冷蔵庫、製氷機などの厨房機器に加え、ドッグカフェ特有の備品も準備しなくてはなりません。
例えば、犬用の食器や水飲みボウル、ペットシーツ、消臭剤、おもちゃ、犬用おやつの陳列棚など、リストアップすると多岐にわたります。
初期費用を抑えるためには、中古の厨房機器を扱う専門店やリースを活用するのも一つの方法です。
人間用と犬用の備品は明確に区別して管理し、衛生面に十分配慮した運用を心がける必要があります。
STEP6:必要な資格の取得と行政への届け出を済ませる
ドッグカフェの開業には、複数の資格取得と行政への届け出が法律で義務付けられています。
まず、飲食店として「飲食店営業許可」を保健所から取得する必要があり、そのために店舗には「食品衛生責任者」を1名以上置かなければなりません。
さらに、犬の一時預かりサービスやドッグホテルを併設する場合は、「第一種動物取扱業」の登録が別途必要となり、専門知識を持つ「動物取扱責任者」の選任が求められます。
これらの許認可は取得までに時間がかかる場合もあるため、店舗の工事計画と並行して早めに準備を始めることが肝心です。
STEP7:スタッフの採用と集客活動を開始する
開業の目処が立ったら、スタッフの採用と集客活動を始めます。
スタッフは、単に犬好きというだけでなく、基本的な接客スキルや衛生観念、犬のしつけに関する知識を持っている人材が理想的です。
採用後は、お店のコンセプトやルールを共有するための研修を行います。
集客活動は、オープン前から開始するのが効果的です。
SNSアカウントを開設して内装工事の進捗を発信したり、プレオープンイベントを企画したりすることで、オープン当日から多くの顧客を迎えることができます。
地域に愛される人気店になるためには、開業前のこうした地道な活動が重要です。
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ドッグカフェの開業に必須となる資格と届け出
ドッグカフェを開業するためには、飲食店としての許可に加えて、場合によっては動物を取り扱うための登録も必要となります。
これらの資格取得や届け出は法律で定められており、手続きを怠ると営業停止などの厳しい処分を受ける可能性もあります。
開業準備の段階で、自身の店舗コンセプトにどのような許認可が必要になるのかを正確に把握し、計画的に準備を進めることが不可欠です。
ここでは、特に重要となる資格と届け出について詳しく解説します。
保健所から「飲食店営業許可」を取得する
飲食物を提供して営業するすべての店舗は、管轄の保健所から「飲食店営業許可」を取得することが法律で義務付けられています。
この許可を得るためには、店舗の施設が保健所の定める基準を満たしていることが条件です。具体的には、厨房と客席が区画されていること、シンクの数やサイズ、給湯設備、手洗い設備の設置、十分な換気設備などが審査されます。
特にドッグカフェの場合、動物がいる空間と調理場との衛生的な区画が厳しく見られる傾向があります。店舗の設計段階で必ず管轄の保健所に事前相談を行い、基準を満たす設計になっているかを確認しながら工事を進めることが重要です。
店舗に1名は必須の「食品衛生責任者」
飲食店営業許可を申請する際には、各店舗に1名以上の食品衛生責任者を置くことが義務付けられています。
食品衛生責任者は、施設での食中毒防止や衛生管理全般を担う重要な役割を持ちます。
この資格は、調理師、栄養士、製菓衛生師などの免許を持っている人は自動的に取得できます。
これらの資格がない場合でも、各都道府県の食品衛生協会が実施する養成講習会を受講し、試験に合格することで資格を得ることが可能です。
講習会は通常1日で完了するため、計画的に受講すれば開業準備の妨げにはなりません。
オーナー自身が取得するか、資格を持つスタッフを雇用する必要があります。
犬を預かるなら「動物取扱責任者」の選任も必要
カフェ営業に加えて、犬の一時預かりやドッグホテル、しつけ教室など、有料で動物の「保管」や「訓練」を行うサービスを提供する場合は、「第一種動物取扱業」の登録が別途必要になります。
この登録を行うには、事業所ごとに常勤の「動物取扱責任者」を1名以上選任しなければなりません。
動物取扱責任者になるには、半年以上の実務経験や所定の学校の卒業、特定の資格の保有といった要件のいずれかを満たすことが求められます。
様々な犬種、特にレトリバーのような大型犬の対応も想定されるため、動物に関する専門知識と経験を持つ人材の確保が不可欠です。
税務署への開業届や消防署への届け出も忘れずに
保健所以外にも、複数の行政機関への届け出が必要です。
個人事業主として開業する場合は、事業開始から1ヶ月以内に管轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出します。
青色申告を希望する場合は、同時に「青色申告承認申請書」も提出しておくと節税につながります。
また、店舗の収容人数が30人以上になる場合は、消防法に基づき消防署へ「防火管理者選任届」や「消防計画作成届」などの提出が義務付けられています。
これらの届け出は忘れがちですが、事業を適法に運営するために不可欠な手続きなので、漏れなく対応しましょう。
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開業資金はいくら必要?初期費用と運転資金の内訳を解説
ドッグカフェの開業には、どれくらいの資金が必要になるのでしょうか。
必要な資金は、大きく「初期費用」と「運転資金」の2種類に分けられます。
店舗の規模や立地、内装へのこだわりによって金額は大きく変動しますが、事前に具体的な内訳を把握し、余裕を持った資金計画を立てることが、開業後の安定経営につながります。
ここでは、それぞれの費用の内訳と、自己資金が少ない場合に費用を抑える方法について解説します。
物件取得費や内装工事費などの初期費用
初期費用は、開業前に必要となるまとまった資金です。
最も大きな割合を占めるのが、物件取得費と内装・外装工事費です。
物件取得費には、保証金(敷金)、礼金、仲介手数料などが含まれ、家賃の数ヶ月分が必要になります。
内装工事費は、スケルトン物件か居抜き物件かによって大きく変動しますが、ドッグカフェ特有の設備(滑りにくい床、脱走防止扉など)が必要なため、一般的なカフェより高額になる傾向があります。
その他、厨房設備費、テーブルや椅子などの什器購入費、食器や備品の購入費、広告宣伝費なども初期費用に含まれます。
人件費や仕入れ費など月々の運転資金
運転資金は、店舗を運営していくために毎月継続的に発生する費用です。主な内訳は、スタッフを雇用する場合の人件費、食材や犬用おやつの仕入れ費、物件の家賃、水道光熱費、通信費、広告宣伝費などです。
開業してすぐに売上が安定するとは限らないため、少なくとも3ヶ月分、できれば半年分の運転資金を開業資金とは別に準備しておくことが推奨されます。特にドッグカフェでは、人間用の食材と犬用の食材の両方を仕入れる必要があるため、仕入れ費の管理が重要になります。
資金繰りが厳しくならないよう、常に余裕を持ったキャッシュフローを意識することが大切です。
自己資金が少ない場合に開業資金を抑える方法
自己資金が少なくても、工夫次第で開業資金を抑えることは可能です。
最も効果的なのは、前のテナントの設備をそのまま引き継げる「居抜き物件」を探すことです。
これにより、内装工事費や厨房設備費を大幅に削減できます。
また、厨房機器やテーブル、椅子などを中古品で揃えたり、DIYで内装の一部を手がけたりすることもコスト削減につながります。
事業計画を立てる段階で、日本政策金融公庫の創業融資や、地方自治体が設けている補助金・助成金制度をリサーチし、活用を検討するのも有効な手段です。
まずは小規模な店舗からスタートし、経営が安定してから規模を拡大していくという考え方もあります。
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失敗しない!愛犬家に愛されるドッグカフェ経営のコツ
ドッグカフェを開業し、長く経営を続けていくためには、ただ場所を提供するだけでは不十分です。
数あるカフェの中から選ばれ、愛犬家たちに「また来たい」と思ってもらうための工夫が欠かせません。
そのためには、明確なコンセプト設定から、犬と人が快適に過ごせる環境づくり、効果的な集客、そしてリピーターを育てるための施策まで、多角的な視点での取り組みが求められます。
ここでは、経営を成功に導くための重要なコツを解説します。
ターゲットを絞った魅力的なコンセプトを打ち出す
成功しているドッグカフェには、必ず明確で魅力的なコンセプトが存在します。
例えば、「小型犬専門」「大型犬歓迎」「オーガニックの犬用メニューが自慢」など、ターゲットを絞り込むことで、特定のニーズを持つ顧客に強くアピールできます。
コンセプトは店舗の内装やメニュー、サービス内容すべてに一貫性を持たせることが重要です。
響きの良い店名で世界観を表現したり、空が見える開放的なテラス席を売りにしたりするのも良いでしょう。
コンセプトが明確であれば、ユニークなサービスも生まれやすくなります。
犬と人が快適に過ごせるよう衛生管理を徹底する
ドッグカフェの評判を左右する最も重要な要素の一つが、衛生管理です。
動物が集まる場所である以上、抜け毛や臭い、汚れは避けられません。
そのため、こまめな清掃や消毒、高性能な空気清浄機の導入など、常に清潔な環境を保つ努力が不可欠です。
また、すべての利用者が気持ちよく過ごせるよう、入店時のルールを明確に定めることも重要になります。
例えば、マナーウェアの着用を推奨したり、予防接種の証明書の提示を求めたりするなど、飼い主にも協力を仰ぐことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して過ごせる空間を提供できます。
SNSを活用して効果的な集客戦略を立てる
ドッグカフェの主なターゲット層である愛犬家は、SNS、特に写真や動画がメインのInstagramを積極的に利用している傾向があります。
この特性を活かし、SNSを効果的に使った集客戦略を立てましょう。
来店してくれた可愛い犬たちの写真を撮影し、飼い主の許可を得て投稿する、季節ごとのイベントや新メニューを告知する、ハッシュタグキャンペーンを実施するなど、フォロワーとのコミュニケーションを楽しみながらお店の魅力を発信します。
来店した顧客が自ら投稿したくなるような、写真映えする内装やメニューを用意することも、口コミによる拡散を促す上で非常に有効です。
リピーターを増やすためのサービスを充実させる
安定した経営のためには、新規顧客の獲得と同時にリピーターを増やすことが不可欠です。
再来店を促すための仕組みとして、ポイントカードや会員制度を導入し、特典を用意するのが効果的です。
また、犬の誕生日を祝う特別メニューや、プロのカメラマンによる撮影会、しつけ教室といった定期的なイベントを企画するのも良いでしょう。
さらに、安全が確保されたエリアで一定時間ノーリードで過ごせるサービスや、1時間単位で利用できるミニドッグランなどを設けることで、顧客満足度を高め、他店との差別化を図ることが可能です。
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まとめ
ドッグカフェの開業は、入念な事業計画の策定、コンセプトの具体化、適切な資金調達、そして各種法令に基づいた資格取得と届け出が不可欠です。
開業までのステップは多岐にわたりますが、一つひとつ着実にクリアしていくことが成功への道筋となります。
また、開業後も衛生管理の徹底、効果的な集客活動、リピーターを育てるためのサービス充実など、継続的な努力が求められます。
何よりも重要なのは、訪れる飼い主と愛犬の両方にとって、安全で快適、そして楽しい時間を提供したいという想いです。
この記事で解説した情報を参考に、愛犬家たちに愛される素敵なドッグカフェの実現を目指してください。
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