家族経営とは?メリット・デメリットから法人化でうまくいく方法まで解説
家族経営とは、特定の家族や親族が中心となって運営する会社や企業の経営形態を指します。
この経営スタイルには、迅速な意思決定や強固なチームワークといったメリットがある一方で、デメリットも存在します。
この記事では、家族経営の定義から、事業を成功に導くための具体的な方法、さらには法人化によるメリットまで、幅広く解説していきます。
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家族経営の定義とは?同族経営との違いも解説
家族経営とは、一般的に特定の家族が企業の所有と経営の大部分を担う形態を指します。
この定義には法的に明確な基準があるわけではなく、実態として家族が中心であるかどうかが判断のポイントとなります。
類似した言葉に「同族経営」がありますが、これは株主の上位3名とその親族で過半数の株式を保有する会社を指す法人税法上の定義です。
ここでは、家族経営の具体的な特徴や、同族経営との見分け方について詳しく解説します。
そもそも家族経営とはどのような経営形態か
家族経営とは、特定の家族やその親族が企業の所有権を持ち、経営の中核を担う経営形態を指します。
法的な定義はなく、経営者一族が出資し、役員の多くを親族が占めることで実質的に事業を支配している状態を指すのが一般的です。
個人事業主や自営業も、その多くは家族で事業を営んでいるため、広義の家族経営と捉えられます。
この形態の最も本質的な特徴は、経営の最終的な意思決定権が特定の家族に集中している点にあります。
そのため、経営者のリーダーシップが事業の方向性を大きく左右する直接的な経営スタイルといえます。
日本の企業の多くは家族経営(同族会社)
日本の企業全体を見ると、その多くが家族経営、すなわち同族会社の範疇に入ります。
帝国データバンクの調査によれば、日本企業の約96%が同族会社であるとされています。
特に中小企業においては、この割合がさらに高くなる傾向が見られます。
大企業の中にも創業家が経営に関わる会社は少なくありません。
これは、事業を立ち上げた創業者の理念や技術を次世代に継承しやすいという文化的背景が影響していると考えられます。
このように、家族経営は日本の経済を根底から支える、非常にポピュラーな経営形態の一つです。
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家族経営ならではの5つのメリット
家族経営には、一般的な企業とは異なる独自の強みや利点が存在します。
経営陣が家族や親族で構成されていることから生まれるメリットは、事業を長期的に安定させる上で大きな力となり得ます。
具体的には、意思決定の迅速化、経営理念の浸透しやすさ、信頼関係に基づく強固なチームワーク、長期的な視点での経営、そして経営方針の一貫性といったメリットが挙げられます。
ここでは、家族経営をすることの具体的な利点を5つの側面から解説します。
経営判断のスピードが速くなる
家族経営の大きな強みは、意思決定の迅速さです。
経営に関する権限が特定の家族に集中しているため、外部の株主の意向を調整したり、複雑な社内手続きを経たりする必要がありません。
これにより、市場の変化や新たなビジネスチャンスに対して素早く対応することが可能となります。
例えば、流行の移り変わりが激しい飲食店業界において、新メニューの導入やキャンペーンの実施を即座に決定できるのは大きなアドバンテージです。
また、コンビニのような小売店でも、地域特性に合わせた商品仕入れの変更などを迅速に行えます。
経営理念やビジョンが社内に浸透しやすい
創業者の想いや経営理念が、家族を通じて次世代へと直接的に継承されやすい点も、家族経営のメリットです。
経営陣が創業者の価値観を深く理解しているため、理念が形骸化することなく、企業文化として組織全体に浸透しやすくなります。
これにより、従業員全員が同じ方向を向いて業務に取り組むことができ、組織としての一体感が生まれます。
実際に、トヨタやサントリー、竹中工務店といった企業は、創業家の理念を大切に受け継ぐことで長期的な成長を遂げています。
ユニクロやキヤノン、ロッテなどの有名企業も、創業の精神を事業の核としています。
信頼関係に基づく強固なチームワークが生まれる
家族という強固な信頼関係を基盤にしているため、経営陣の間で円滑なコミュニケーションが取りやすく、強力なチームワークが生まれます。
幼い頃から共に過ごしてきた家族ならではの暗黙の了解や阿吽の呼吸は、事業運営においてもプラスに作用し、円滑で効率的な業務遂行を可能にします。
この強固な結束力は、特に農業や建設業、製造業といった現場での密な連携が求められる業種において大きな強みとなります。
たとえ4家族以上の親族が関わるような規模になっても、中心となる家族の絆が組織全体の求心力として機能します。
長期的な視点で安定した経営ができる
家族経営では、短期的な業績や株価に左右されることなく、世代を超えた長期的な視点で経営戦略を立てることが可能です。
一般的な企業は四半期ごとの業績で評価されることが多く、短期的な利益追求に陥りがちですが、家族経営では目先の利益よりも事業の持続性を重視する傾向があります。
これにより、結果が出るまでに時間がかかる研究開発や大規模な設備投資にも積極的に取り組めます。
韓国のサムスンやアメリカのウォルマートのように、世界的な大企業の中にも、創業家による長期的視点での経営が成長の原動力となった例は少なくありません。
経営方針に一貫性が保たれやすい
経営者が頻繁に交代する企業と比べて、家族経営は事業承継が親族内で行われるため、経営方針に一貫性が保たれやすいという利点があります。
経営のトップが変わっても、創業以来の理念や事業の核となる価値観が受け継がれるため、経営の軸がぶれません。
この一貫性は、顧客や取引先からの長期的な信頼獲得につながり、安定した事業基盤を築く上で非常に重要です。
有名な老舗企業が良い例で、何世代にもわたって同じ品質やサービスを提供し続けることで、確固たるブランドを確立しています。
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注意したい家族経営の5つのデメリット
多くのメリットがある一方で、家族経営には特有のデメリットやリスクも潜んでいます。
親族間の緊密な関係が、時として経営上のトラブルや不満の原因となることも少なくありません。
経営者の独断専行、親族と従業員間の不公平感、相続をめぐる揉め事など、対処が難しい問題に発展する可能性があります。
最悪の場合、事業の存続を脅かす事態にもなりかねません。
ここでは、家族経営を行う上で注意すべき5つの悩みやデメリットについて具体的に解説します。
経営者の独断で物事が進むワンマン経営に陥りやすい
家族経営では、会社の所有と経営が一体化しているため、経営権が社長一人に集中しがちです。
その結果、周囲の意見に耳を傾けないワンマン経営に陥るリスクがあります。
社長の強力なリーダーシップは迅速な意思決定につながる一方、判断を誤った場合に誰も反対できず、経営が誤った方向に進む危険性をはらみます。
特に、親族である役員や従業員は、身内であるからこそ異を唱えにくいという心理が働きやすいです。
客観的な視点を持つ社外の意見を取り入れる仕組みがなければ、この傾向はより強固なものとなります。
家族以外の従業員が不公平感を抱きやすい
家族経営の会社において、親族が能力や実績に関わらず優遇されると、家族以外の従業員は強い不公平感を抱くことになります。
例えば、給与や昇進において親族が優先されたり、重要なポストが身内で固められたりする状況では、一般従業員の仕事への意欲は大きく損なわれます。
特に少人数で創業家族の手伝いという意識が残る職場では、この問題が顕著に現れがちです。
こうした環境は、優秀な人材の離職を招くだけでなく、これから就職や入社を考える人材からも敬遠される原因となります。
親族間で経営方針や相続をめぐる対立が起こる可能性がある
家族経営では、経営方針の違いや事業承継に伴う相続問題が、親族間の対立、「お家騒動」に発展するリスクを常に抱えています。
ビジネス上の意見の相違が、家族としての感情的なしこりを生み、一度関係がこじれると修復が困難になるケースも少なくありません。
特に相続に関しては、株式や資産の分配を巡って争いが生じやすく、最悪の場合は会社の分裂や廃業に追い込まれることもあります。
事前の十分な話し合いや、専門家を交えた計画的な準備が不可欠です。
公私混同が起こり会社の資産が私物化されるリスクがある
家族経営では、会社と個人の境界線が曖昧になりやすく、公私混同が起こりやすいというデメリットがあります。
経営者が会社の経費を個人的な支出に流用したり、会社の車や備品を断りなく私的に利用したりするなど、会社の資産が私物化されるリスクが潜んでいます。
このような行為は、税務調査で指摘される問題に発展する可能性があるだけでなく、他の従業員の目には不公平に映り、組織全体の士気を著しく低下させる原因となります。
会社はあくまで公器であるという意識を、経営者自身が強く持つ必要があります。
優秀な人材が外部から集まりにくく定着しづらい
家族経営の企業、特に非上場の会社は、外部から優秀な人材を確保し定着させることが難しいという課題を抱えています。
「重要なポストは結局親族で占められる」というイメージが先行し、キャリアアップを目指す意欲的な人材から敬遠されがちです。
また、実際に入社しても、評価制度や昇進の機会が不透明であれば、能力のある従業員ほど早く見切りをつけて離職してしまいます。
組織の閉鎖的な体質が、成長に必要な多様な人材の獲得を阻害する要因となる可能性があります。
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家族経営を成功に導くための5つの秘訣
家族経営が持つデメリットを乗り越え、そのメリットを最大限に引き出すためには、意識的な組織運営が不可欠です。
感情的なつながりに頼るのではなく、客観的なルールや制度を整備し、企業としての規律を保つことが成功の鍵を握ります。
公私混同の防止や公平な人事評価、計画的な後継者育成など、取り組むべき課題は多岐にわたります。
このセクションでは、家族経営を持続的に成長させるための具体的な5つの秘訣を紹介します。
会社のルールを明確化し公私混同を徹底的に防ぐ
家族経営における最大の課題の一つである公私混同を防ぐためには、会社のルールを明確に文書化し、それを徹底して遵守する文化を醸成することが重要です。
経費精算の基準、勤務時間、休暇取得のルールなどを具体的に定め、親族であっても例外なく適用します。
例えば、会社が所有する不動産の個人的な利用や、社用車の私的利用に関する細則を設けることが考えられます。
フランチャイズの店舗が本部のマニュアルに従うように、自社独自の客観的なルールブックを作成し、運用することで、組織としての透明性と規律を保ちます。
従業員が納得できる公平な人事評価制度を構築する
親族以外の従業員が意欲的に働ける環境を作るためには、誰もが納得できる公平な人事評価制度の構築が不可欠です。
評価基準を明確にし、個人の成果や能力が正当に評価され、給与や昇進に反映される仕組みを整えます。
これにより、従業員は自身のキャリアパスを描きやすくなり、エンゲージメントの向上にもつながります。
親族である役員や取締役も同じ基準で評価されるという透明性を示すことで、組織全体の信頼感を高め、人材の定着を促進する効果が期待できます。
家族という理由だけで役職を与えず適材適所を心掛ける
会社の持続的な成長のためには、親族であるという理由だけで安易に重要な役職を与えるべきではありません。
たとえ経営者の奥さんや息子であっても、その人物の能力、経験、適性を客観的に見極め、最も能力を発揮できるポジションに配置する「適材適所」を徹底します。
能力が伴わない人物を幹部に据えれば、的確な意思決定ができずに業績を悪化させるだけでなく、他の優秀な従業員の離職を招くことにもなります。
社内に適任者がいない場合は、外部から専門的な知見を持つ人材を積極的に登用する決断も必要です。
経営理念や事業の方向性を定期的に共有する場を設ける
家族経営の強みである理念の浸透を確実なものにするため、経営陣の間で経営理念や事業のビジョンを定期的に確認し、共有する機会を意識的に設けることが有効です。
社長や後継者候補、専務、専従者といった経営の中核を担うメンバーが定期的に会合を開き、会社の現状と将来について深く議論します。
日々の業務に追われる中で生じがちな認識のズレを修正し、全員が同じ目標に向かって進むための一体感を醸成します。
この対話を通じて、経営方針の一貫性を保ち、変化する市場環境へも的確に対応できます。
計画的に後継者の育成に取り組む
事業承継は、家族経営における最も重要かつ困難な課題です。
スムーズな承継を実現するためには、早期から計画的に後継者の育成に着手する必要があります。
誰に会社を継ぐのかを早めに決め、経営者として必要な知識、スキル、人間性を身につけさせるための育成プログラムを準備します。
社内の様々な部署を経験させたり、一時的に他社へ出向させたりすることも有効な手段となります。
現経営者は一方的に後継者を指名するのではなく、候補者本人と十分に相談し、納得を得ながら承継プロセスを進めていく姿勢が求められます。
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代表的な家族・同族経営の企業
日本には数多くの家族・同族経営企業が存在し、その中には国内外で高い評価を得ている企業も多数あります。
誰もが知る自動車メーカーや電機メーカー、食品メーカーから、老舗の伝統産業、地域に根ざした中小企業まで、多種多様な業種で家族・同族経営が事業を支えています。
トヨタ自動車、サントリーホールディングス、ファーストリテイリングなどが代表的な例として挙げられますが、これらは創業者の哲学や家族の絆が、長期的な視点での経営や事業成長に大きく貢献しているケースです。
日本の代表的な家族経営企業一覧
| 企業名 | 業種 | 創業年 | 現経営者(一族関係) |
| トヨタ自動車 | 自動車 | 1937年 | 豊田章男(創業者豊田喜一郎の孫) |
| 松下電器(パナソニック) | 電機 | 1918年 | 創業者一族は経営から退く(松下幸之助創業) |
| 鈴木自動車(スズキ) | 自動車 | 1909年 | 鈴木俊宏(創業者の曾孫) |
| サントリーホールディングス | 飲料・酒類 | 1899年 | 佐治信忠(創業者鳥井信治郎の孫) |
| タニタ | 健康機器 | 1923年 | 谷田千里(創業者の孫) |
世界の代表的な家族経営企業一覧
| 企業名 | 国 | 創業年 | 業種 |
| ウォルマート(Walmart) | アメリカ | 1962年 | 小売 |
| サムスン | 韓国 | 1938年 | 電機・IT |
| ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton) | フランス | 1854年 | 高級ブランド |
| BMW | ドイツ | 1916年 | 自動車 |
| タタ・グループ | インド | 1868年 | コングロマリット |
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節税や信用力向上に繋がる法人化のすすめ
個人事業主として家族経営を行っている場合、法人化(法人成り)を検討することで、事業の成長をさらに加速させられる可能性があります。
法人になることで、個人事業のままでは得られない様々なメリットを享受できます。
代表的なものとして、社会的な信用力の向上や、節税効果が挙げられます。
例えば、経営者や家族従業員に給料を支払うことで所得を分散できたり、経費として認められる範囲が広がったりします。
また、生命保険などを活用した福利厚生費の計上や、株を用いた計画的な事業承継の準備も可能となり、経理・財務戦略の選択肢が大きく広がります。
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まとめ
家族経営は、経営権が家族に集中することから生まれる迅速な意思決定や理念の浸透しやすさといったメリットを持つ一方、ワンマン経営や公私混同といったデメリットも内包しています。
この経営形態を成功させるには、強みを最大限に活かしつつ、弱点を克服するための仕組み作りが不可欠です。
具体的には、社内ルールを明確化して公私混同を防ぎ、客観的な人事評価制度を導入して従業員の公平感を担保することが求められます。
また、計画的な後継者育成は事業の持続性にとって極めて重要です。
個人事業の場合は、法人化によって節税や信用力向上のメリットを得ることも、成長戦略の一環として有効な選択肢となります。
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