トリミングサロン開業のために知っておきたいアレコレ

1

多様な経営形態から自分に合ったものを選ぼう

ペット愛好家のニーズに応えるようにトリミングサロンのサービスも多岐に渡ります。 経営形態も多彩ですが、独立店舗によるペット美容専業店（ペットサロン）や自宅開業が主流です。 他には移動トリミングや訪問トリミング、動物病院やペットショップといったペット関連の施設に併設する方法があります。 これらの形態についてしっかりと把握し、自分に適した開業スタイルを選びましょう。 開業は大きな決断ですので、しっかりと方向性を決めてから行動することが大切です。

2

売り上げにも関わる「立地」は時間をかけて調査・決定

サービス業の開業準備の中でも肝心なのが「立地選び」です。 立地によって客層やニーズも微妙に異なりますし、自分のトリミングサロンに合った立地を選ばないと売り上げにも影響が出ます。 必ず手間と時間をかけて、候補地の調査をしておきましょう。 立地を選ぶポイントは、「その地に住んでいる人が多いこと」「人通りや車などの通行量が多いこと」「近くに人が集まる大型施設があること」「人の動線上にあること」です。 このポイントを意識して、平日や休日、時間帯などを変えて何度も候補地に足を運びましょう。

3

一番大切なお金について！実際どれくらいかかるのか

独立店舗を借りる場合と自宅開業では少し異なりますが、ここでは費用がよりかかる独立店舗を例に開業資金について考えてみましょう。 独立店舗で開業する場合、一番お金がかかるのが店舗関連です。

例えば、都内近郊にある15坪程度、1カ月の家賃が30万円の物件で考えてみましょう。
店舗を借りるだけで家賃の30万円に加えて、家賃10～12カ月分程度の保証金、家賃1カ月分の礼金と仲介手数料がかかると仮定します。
具体的な数字にすると約450万円（保証金が家賃12カ月分の場合）です。
内装工事費は多く見積もって、レイアウト設計約50万円、空調換気・給排水工事約180万円、外装費450万円程度です。
必要な備品はピンキリですが、トリミング台とドライヤー、ドッグバス各2台、家具や什器で30万円程度かかります。
他にチラシやホームページ開設といった広告宣伝費約5万円、シャンプー・コンディショナーなどの消耗品の仕入代約15万円、運転資金約180万円（家賃半年分）です。
これらを合計すると開業に必要な初期費用は約1,360万円になります。

4

独立店舗か自宅か？ それぞれのメリット・デメリット

トリミングサロンの開業は「独立店舗を構えるか」「自宅を利用するか」の2種類の方法が一般的です。 独立店舗を構える場合は自分好みの理想のサロンが作れることが一番の魅力でしょう。 自宅開業と違って専用のスペースになるため、トリミングだけでなく物販やペットホテルというように幅広いサービスを提供しやすくなります。

逆にデメリットは何と言っても多額の資金を要する点でしょう。 手広く展開することになるため、経営者としての仕事も多くなります。 一方自宅開業の場合は、開業費用を抑えられることと地域密着型の運営ができるというメリットがあります。 小規模経営ならば経営者の負担も少なくてすみます。 デメリットは自宅の一部を利用するため「事業の拡大が難しいこと」「サロンなのか分かりづらいこと」「家族や近所の理解が必要になること」などが挙げられます。

5

なくてはならない開業に必要な資格と手続き

トリミングサロンは法律上「動物取扱業」に当たるため、必ずしなければならない手続きがあります。 それが、動物取扱責任者資格の取得と動物取扱業の登録手続きです。 動物取扱責任者資格は動物取扱の半年以上の実務経験、第一種動物取扱業の種別に関する知識と技術について1年以上教育する学校法人を卒業、対象となる資格の取得の3点を満たしていればすぐに取得できます。

動物取扱業の登録申請をすると数日でサロンに検査が入ります。 検査をクリアしたら、都道府県によって異なりますが、数日後に登録証が交付されます。 申請から登録証の交付までで約1カ月程度と見ておきましょう。 手続きがすんだら、動物取扱業登録証と動物取扱責任者の名前をサロン内の見やすい場所に掲示します。

また、個人事業主として開業する場合、開業後1カ月以内に開業届を提出しなければなりません。 さらに青色申告を希望するなら、承認を受けようとする年の3月15日まで（その年の1月16日以降に開業したときは開業日から2カ月以内）に青色申告承認申請書を提出しましょう。

6

まとめ

多くの人にとって開業で一番の難関となるのが費用の調達です。 開業資金を抑えたい人は独立店舗や自宅開業にこだわらず、移動トリミングや訪問トリミングのように開業資金が比較的少なくてすむ方法も視野に入れましょう。 また、どんな開業の仕方でも失敗しないためには先を見据えた具体的な計画が大切です。 できるだけ詳細に費用や経営方針、開業スケジュールなどを書き出してみることをおすすめします。 明確な計画が夢のトリミングサロンへ一歩近づけてくれるはずです。