バー開業の流れと必要なものを解説|未経験向けの資金・資格・準備

バーの開業は、
未経験から挑戦する方も多い魅力的な事業ですが、成功させるには入念な準備と正しい知識が不可欠です。
この記事では、barを開業するにはどのような手順を踏むべきか、その具体的な流れと必要なものについて網羅的に解説します。
開業に必要な資格の取得方法から、多くの人が気になる資金、つまりお金の問題、
さらには具体的な準備の期間や手順まで、未経験者が抱く疑問を解消します。
事業計画の立て方や資金調達に関する相談先、セミナーなどのサポート情報にも触れながら、着実に開業を実現するための道筋を示します。
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バー開業に不可欠な初期費用と運転資金の目安
バーを開業する上で、まず明確にしなければならないのが資金計画です。
必要な費用は、
店舗を構えるための「初期費用」
と、
開業後の経営を支える「運転資金」
の二つに大別されます。
小規模なバーであれば100万円台の資金から開業するケースも存在しますが、
これはあくまで最低限の予算です。
物件の規模や立地、内装へのこだわりによって、必要な費用は大きく変動します。
バーを開業するにあたり、具体的にいくらの予算を見込むべきか、
その内訳を正確に把握し、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
費用の項目を一つひとつ洗い出し、現実的な計画を立てましょう。
店舗取得や内装工事にかかる初期費用
初期費用の中でも特に大きな割合を占めるのが、店舗の物件取得費と内装工事費です。
物件取得費には保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、前家賃などが含まれ、
一般的に家賃の半年から1年分が目安とされます。
例えば京都や大阪といった都市部では家賃相場も高くなる傾向にあります。
内装工事費は、厨房設備やカウンター、空調などを何もない状態から作り上げるスケルトン物件か、以前の設備が残っている居抜き物件かで大きく変動します。
マンションの一室を改装する場合でも、防音対策や給排水設備工事で高額になることがあります。
初期投資を抑えるには、コンセプトに合う居抜き物件を探すのが効率的な方法です。
開業後の経営を支える運転資金
運転資金とは、開業直後の売上が安定しない時期の経営を支えるために不可欠な資金のことです。
主な内訳としては、家賃、人件費、水道光熱費、お酒や食材の仕入れ費、広告宣伝費などが挙げられます。
一般的には、
月々の固定費の最低3ヶ月分、できれば半年分程度の運転資金
を準備しておくことが推奨されます。
提供するバーのスタイルによっても必要な資金は異なります。
例えば、カジュアルなショットバーやスポーツバー、ワインやウイスキーに特化したオーセンティックバー、
日中はカフェとしても営業するスタイル、カラオケや音楽ライブ設備を備える店舗など、それぞれのコンセプトに応じて仕入れ費や設備維持費は変動します。
自己資金以外で開業資金を調達する方法
開業に必要な資金の全額を自己資金で賄うのが難しい場合、外部からの資金調達を検討します。
主な方法として、日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資といった公的な融資制度の活用が挙げられます。
これらの制度は、民間の金融機関と比較して低金利で、創業者向けの支援も手厚いという特徴があります。
また、国や地方自治体が提供する補助金や助成金も有力な選択肢です。
これらは原則として返済が不要なため、資金計画の大きな助けとなります。
特に、コロナ禍以降に新設された事業者支援策や、地域活性化を目的とした制度など、自身の事業計画に合致する支援制度がないか、積極的に情報収集を行うことが重要です。
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バーの開業前に取得すべき資格と必要な届出
バーの開業には、食品を安全に提供するための資格取得と、営業形態に合わせた行政への届出が法律で定められています。
これらの必要な資格や許認可は、開業準備の初期段階から計画的に取得・申請手続きを進める必要があります。
特に、飲食店営業許可などの許可が下りなければ営業を開始することはできず、全体のスケジュールに大きな影響を及ぼします。
自身の店のコンセプトや営業スタイルを明確にし、どの手続きが必要になるのかを事前に正確に把握しておくことが、スムーズな開業への第一歩となります。
必ず取得が必要な2つの資格
バーを含む飲食店を開業するにあたり、
ほとんどのケースで必須となるのが「食品衛生責任者」と「防火管理者」という2つの資格です。
食品衛生責任者は、
食中毒の発生防止や施設全体の衛生管理を担うために、
各店舗に必ず1名配置することが食品衛生法で義務付けられています。
一方、防火管理者は、
火災による被害を防ぐための責任者であり、
店舗の収容人数(従業員と客席数の合計)が30人以上の場合に選任が必要です。
どちらの資格も指定の講習を受講することで取得可能ですが、
開催日程が限られている場合もあるため、開業スケジュールを考慮して早めに準備を進める必要があります。
食品衛生責任者の資格取得方法
食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会などが実施する養成講習会を受講することで取得できます。
講習は通常1日で完了し、公衆衛生学、衛生法規、食品衛生学といった科目について学びます。
申し込みは、店舗を管轄する保健所の窓口や、食品衛生協会のウェブサイトから行うのが一般的です。
講習の開催頻度は地域によって異なるため、開業予定日から逆算して余裕を持ったスケジュールで受講を済ませておくことが望ましいです。
なお、調理師、栄養士、製菓衛生師などの特定の資格を保有している場合は、講習を受講することなく食品衛生責任者になることが認められています。
防火管理者の資格取得が必要なケース
防火管理者の選任は、
店舗の収容人数が30人以上(従業員を含む)の場合に消防法で義務付けられています。
この資格は、店舗の延べ面積によって種類が分かれており、
300㎡以上であれば「甲種」
300㎡未満であれば「乙種」
の防火管理者講習を受講しなければなりません。
講習は日本防火・防災協会や地域の消防署が実施しており、甲種は2日間、乙種は1日の日程が標準です。
資格を取得した後は、管轄の消防署へ「防火管理者選任(解任)届出書」を提出します。
テナントビルに入居する場合は、建物全体の規模が資格要件に関わることもあるため、事前にビル管理会社や所轄の消防署に確認することが必要です。
営業形態に応じて提出する行政への届出
バーを開業するためには、営業の根幹となる「飲食店営業許可」の取得が必須です。
この許可は店舗の所在地を管轄する保健所に申請します。
さらに、提供するサービスや営業時間によって、追加で必要な届出があります。
例えば、深夜0時以降もアルコールをメインに提供して営業する場合には、管轄の警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出しなければなりません。
また、ダーツやカラオケのようにお客さんに遊興をさせたり、特定の接待行為を伴う営業を行ったりする際は、風営法に基づく別の許可が必要になる可能性があります。
自身の店の営業形態を正確に把握し、どの届出が必要かを確認しておくことが不可欠です。
すべての飲食店で必要な「飲食店営業許可」
バーを含むすべての飲食店は、営業を開始する前に、
管轄の保健所から「飲食店営業許可」を取得する必要があります。
この許可を得るためには、まず申請書類を提出し、その後、保健所の担当者による店舗の施設検査を受けなければなりません。
検査では、厨房のシンクの数や手洗い設備の設置場所、冷蔵庫の温度計の有無など、定められた施設基準を満たしているかが細かくチェックされます。
この検査に合格して初めて許可証が交付され、正式に営業を開始できます。
基準を満たしていない場合は改善後に再検査となるため、店舗の設計段階から保健所に相談し、基準を確認しておくと手続きが円滑に進みます。
深夜0時以降も営業する場合の「深夜酒類提供飲食店営業開始届」
深夜0時を過ぎて酒類を提供して営業を行うバーは、
「飲食店営業許可」とは別に、
管轄の警察署の生活安全課へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出する義務があります。
この許可この届出は営業を開始する10日前までに行う必要があり、
店舗の平面図やメニュー表、営業方法を記載した書類、住民票などの添付が求められます。
これは許可制ではなく届出制ですが、書類に不備があると受理されません。
また、この届出を行った店舗では、特定の接待行為は禁止されています。
さらに、用途地域によっては深夜営業が認められないエリアもあるため、物件契約前に必ずその地域の規制を確認しておくことが重要です。
接待や遊興サービスを提供する場合の「特定遊興飲食店営業許可」
深夜0時以降にお酒を提供し、
ダーツやカラオケ、ショー、DJブースなどを設けて客に遊興をさせ、店側が積極的にそれを促すような営業形態の場合は、
「特定遊興飲食店営業許可」の取得が必要になることがあります。
この許可は風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に基づいており、
ライブハウスやクラブ、一部のスポーツバーなどが該当します。
許可の要件は非常に厳格で、営業が許可される地域の制限や、店舗の構造、騒音、照明に関する詳細な基準を満たさなければなりません。
申請から許可取得まで数ヶ月を要することも珍しくなく、手続きが複雑なため、行政書士などの専門家への依頼を検討するのが一般的です
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未経験からでもわかるバー開業までの7ステップ
バーの開業を成功させるには、情熱だけでなく、現実的な計画と着実な実行が求められます。
特に未経験から挑戦する場合、何から手をつければ良いのか分からなくなることも少なくありません。
ここでは、コンセプトの策定から店舗のオープンまでの流れを、具体的な7つのステップに分けて解説します。
この手順に沿って一つずつ課題をクリアしていくことで、開業という目標に向けて着実に前進することが可能です。
ステップ1:お店のコンセプトを固め事業計画を立てる
バー開業の土台となるのが、どのような店を作るかというコンセプトの具体化です。
- ターゲットとする客層(年齢、性別、職業など)
- 提供するお酒や料理の特色
- 店の雰囲気や内装のイメージ
- 価格帯
などを明確に定義します。
このコンセプトが、後の物件探しや資金計画、メニュー開発などすべての意思決定の軸となります。
コンセプトが固まったら、それを実現するための詳細な計画を事業計画書として文書化します。
事業計画書には、店の強みやセールスポイント、市場分析、売上や利益の予測、具体的な資金計画などを盛り込みます。
これは自己資金の確認だけでなく、融資を受ける際の必須書類です。
ステップ2:コンセプトに合った店舗物件を探す
事業計画がまとまったら、コンセプトを実現するための店舗物件探しを開始します。
立地は売上を大きく左右するため、ターゲット顧客が集まるエリアや、競合店の状況をリサーチした上で慎重に選定します。
物件には、
内装や設備が何もない「スケルトン物件」
と、
前のテナントの設備が残された「居抜き物件」
があります。
初期費用を抑えたい場合は居抜き物件が魅力的ですが、
自分たちのコンセプトに合わない設備は改修が必要になるため、内見時に細かくチェックすることが重要です。
家賃や広さに加え、周辺の人通りや環境、深夜営業が可能かどうかの用途地域規制も契約前に必ず確認します。
ステップ3:事業計画書をもとに資金調達を行う
店舗物件の候補が決まり、内装工事費などの見積もりを取ることで、必要な開業資金の総額が見えてきます。
自己資金で不足する分については、金融機関からの融資を検討します。
主な選択肢として、創業者向けの融資に積極的な日本政策金融公庫や、地方自治体が窓口となる制度融資が挙げられます。
融資の申し込みには、ステップ1で作成した事業計画書の提出が求められます。
なぜこの事業が成功するのか、どのようにして借入金を返済していくのかを、客観的なデータに基づいて説明する能力が問われます。
審査には時間を要するため、物件の仮契約などと並行して早めに手続きを進めることが肝心です。
ステップ4:店舗の内装工事と厨房設備の準備
物件の契約と資金調達が完了したら、店舗の内装工事に取り掛かります。
設定したコンセプトを形にする重要な工程であり、店の印象を決定づけます。
デザイン会社や工務店など複数の業者から見積もりを取り、提案内容と費用を比較検討して依頼先を決定します。
工事中は定期的に現場を訪れ、イメージ通りに進んでいるかを確認することが大切です。
並行して、製氷機やコールドテーブル、食器洗浄機、音響設備といった厨房・店舗設備の選定と発注も進めます。
新品だけでなく、質の良い中古品をリースや購入で活用することで、初期投資を抑える工夫も可能です。
ステップ5:必要な資格の取得と行政への届出を済ませる
店舗の工事と並行して、営業に必要な資格の取得と行政への届出を計画的に進めます。
「食品衛生責任者」や「防火管理者」
の資格は講習の受講が必要なため、早めに日程を確認して申し込みを済ませます。
店舗の内装が完成する目処が立ったら、管轄の保健所に「飲食店営業許可」の申請を行います。
申請後、保健所の担当者による施設検査に合格しなければ営業は開始できません。
また、深夜0時以降も営業する場合は、管轄の警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出します。
これらの手続きはそれぞれ時間がかかるため、オープン日から逆算して余裕を持ったスケジュールで対応します。
ステップ6:お酒や食材の仕入れ先を確保しメニューを開発する
店舗のハード面が整うと同時に、提供するお酒やフードといったソフト面の準備を進めます。
店のコンセプトやターゲット層に合わせて、カクテル、ウイスキー、ワインなどのドリンクメニューと、それらに合うフードメニューを具体的に開発します。
看板となるオリジナルメニューや、他店との差別化を図れるメニューを考案することも集客につながります。
メニューが決まったら、それらを安定的に供給してくれる仕入れ先を開拓します。
複数の酒販店や食材業者とコンタクトを取り、価格、品質、最低発注ロット、配送頻度などを比較検討し、信頼できる取引先を確保することが、店のクオリティを維持する上で不可欠です。
ステップ7:スタッフの採用と集客活動を開始する
オープン日が正式に決定したら、スタッフの採用と集客活動を本格化させます。
一人で運営する小規模な店舗でない限り、スタッフの確保は必須です。
求人サイトへの掲載や知人からの紹介などを通じて、店のコンセプトに共感し、共に店を盛り上げてくれる人材を探します。
採用後は、接客マナーやドリンクの作り方、レジ操作といったオペレーションについて十分な研修を行います。
同時に、店のオープンを告知するための集客活動も開始します。
SNSでの情報発信、ウェブサイトの開設、プレスリリースの配信、近隣店舗や住民へのチラシ配布など、様々な方法で店の認知度を高めていきます。
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バー開業を成功に導き廃業を避けるためのポイント
バーを開業することはゴールではなく、継続的に利益を上げ、長く愛される店にしていくためのスタートラインです。
残念ながら、多くの飲食店が開店から数年で廃業に追い込まれるという厳しい現実もあります。
競争の激しいバー業界で生き残り、成功を収めるためには、開業準備の段階からオープン後の経営を見据えた戦略を立てておくことが不可欠です。
ここでは、開業後の安定した経営を実現し、廃業のリスクを避けるために特に重要となる3つのポイントについて解説します。
初めてのお客様でも入りやすい店構えを意識する
バー、特に路面店や地下にある個人経営の店舗は、中の様子が分かりにくく、初めての客にとっては入店のハードルが高いと感じられがちです。
安定した経営のためには新規顧客の獲得が不可欠であり、誰でも気軽に入りやすい雰囲気作りが重要となります。
例えば、店の外にメニューボードを設置して、料金体系を明示するだけでも安心感を与えられます。
また、ドアに小窓を設けたり、看板の照明を工夫したりして、店内の明るさや賑わいが外に伝わるようにするのも効果的です。
店のコンセプトやこだわりを伝えるメッセージを掲示するなど、店主の人柄や店の個性が垣間見える工夫は、潜在顧客の入店を後押しします。
常連客を増やして安定した売上を作る仕組み
バー経営の基盤を安定させるのは、繰り返し訪れてくれる常連客の存在です。
新規顧客の獲得コストは、リピーターの維持コストよりも高いと言われています。
一度来店した客に「また来たい」と感じてもらうための努力が、長期的な成功の鍵を握ります。
質の高いドリンクや居心地の良い空間を提供するのはもちろんのこと、客の顔や名前、好みのドリンクなどを覚え、パーソナルなコミュニケーションを図ることが顧客満足度を高めます。
ボトルキープ制度の導入や、ポイントカードの発行、常連客だけが知る裏メニューを用意するなど、再来店を促す具体的な仕組みを構築することも有効な手段です。
SNSを活用してオンラインでの集客を強化する
現代において、SNSはバーの集客に欠かせない強力なツールです。
InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなどを活用し、店の魅力をオンラインで発信することで、幅広い層の潜在顧客にアプローチできます。
美しいカクテルの写真やこだわりの内装、フードメニューの紹介、イベントの告知などを定期的に投稿し、店の世界観を伝えます。
ハッシュタグを効果的に使い、近隣の地名やバーに関連するキーワードで検索したユーザーに情報が届くように工夫することも重要です。
フォロワーからのコメントや質問に丁寧に返信するなど、双方向のコミュニケーションを心がけることで、店のファンを増やし、実際の来店へとつなげられます。
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まとめ
バーの開業は、明確なコンセプト設定と、それに基づいた詳細な事業計画から始まります。
資金調達、物件取得、内装工事、食品衛生責任者の資格取得や飲食店営業許可、深夜酒類提供飲食店営業開始届といった行政への届出まで、多岐にわたる準備を計画的に進める必要があります。
未経験から開業を目指す場合は、これらの各ステップを一つずつ着実にクリアしていくことが求められます。
開業後も、新規顧客が入りやすい店構えの工夫や、常連客を育てるためのコミュニケーション、SNSを活用した情報発信といった地道な経営努力が事業の継続には不可欠です。
これらのプロセスを丁寧に進めることが、成功するバー経営の土台となります。
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